究極のシンプル美容に徹したい方が、たった一つスキンケアアイテムを買うとすれば、上質なオーガニック石けんをおススメします。私は痛んだ髪と肌をリセットするために、純石鹸(成分が石けん素地のみ)で洗髪とスキンケアをしていた時期があり、「塗る」よりも「洗う」ことが美容の基本であることを身をもって知りました。
世界にはヴァージンオリーブオイルを使用した伝統ある純石鹸が数多く販売されています。中でも歴史の古いのは、紀元前数千年前からオリーブが人々の生活に根差してきたパレスチナのナーブルス産「ナーブルスソープ」です。前回レビューした「ナチュラルオリーブオイル」に続いて、今回はエイジングケアに向いた「ナーブルスソープ ぶどう / Grapes」をレビューします。
- 「ナーブルスソープ ぶどう」と「ナチュラルオリーブオイル」との比較
- ぶどうとスキンケアとの良好な関係
- 石けん成分のオーガニック・ヴィーガンが持つ意味
- エリザベス1世が大絶賛したナーブルスソープの成分
- 使用・保存で気を付けたいこと
「ナーブルスソープ ぶどう」と「ナチュラルオリーブオイル」との比較
ナーブルスソープ ナーブルスソープ(ぶどう)オーガニック・ヴィーガン洗顔&ボディー石鹸 グレープシードオイルの香り 100g 洗顔料 アットコスメ 価格:1,518円 |
うんちくを語る前にいきなりですが、「ナーブルスソープ ぶどう/ Grapes」の使い心地をレポートしたいと思います。ベーシックタイプの「ナチュラルオリーブオイル」については先月、下の記事にレポートしました。
12月中旬から使い始めて、途中で他のコスメをレビューするためにちょっと中抜けした期間がありましたが、ほぼ1か月は使い続けました。
固形の純石鹸フリークの私は、これまで手あたり次第トライしてきたので、ナーブルスソープが抜群に優れているとは言えませんが、上位にくるのは間違いないと思います。使用して数日後のレビューがそのまま1カ月後も、いい具合に続いているって感じです。クレンジング剤を使わず石けんだけでメークが落とせますし、以下の3点については特に気に入りました。
- 肌の透明感が増した(肌が白くなった)
- 毛穴の黒ずみ(特に鼻の脇)が減少した
- キメの細かさが増してスベスベになった
そして今回は「ナーブルスソープ ぶどう」。成分はオリーブ果実油 67% 、水酸化Na 10% 、ブドウ種子油 10% 、水 9% 、ブドウエキス4%となっています。
ぶどうと聞いて紫色をイメージしていたんですが、石けんの色は薄いグリーン。香りは「ナチュラルオリーブオイル」がちょっと泥臭いのに比べると、「ぶどう」は繊細な甘い香りです。ところどころに黒い小さな粒が見えるのは、ぶどうの種子でしょうか。
ネットで泡立ててみました。「ナチュラルオリーブオイル」と同じで、白いこんもりとした泡です。とは言え私は泡立てが下手で、手に乗せて写真を撮っているあいだにとんどんカサが減っていきます。眺めている暇があったら早めに肌に乗せたほうがいいでしょう。
泡の中にそうっと顔を落とすと、鼻に伝わってくる香りは清楚で優しいので、女性にはこちらのほうが好かれるかもしれません。
洗い上がりは「ナチュラルオリーブオイル」よりも、しっとり感が残ります。石けん洗顔ビギナーの方や乾燥肌の方にはおススメです。私は肌に弾力がよみがえってきたのを感じましたよ。
ぶどうとスキンケアとの良好な関係
「ナーブルスソープ ぶどう」の商品説明を引用します。
天然のブドウから作られたナーブルスソープ。純粋なオリーブオイルに加え、ブドウの抽出成分を配合した新しいかたちの石鹸が、お肌に潤いを与えます。
ブドウのトリートメントを体感してみてください。ブドウは、エイジングケア製品の新しい流行成分です。スキンケアに高い効果を発揮し、その生成物質がエイジングケア製品に使用されています。ブドウには、お肌にハリと艶を与え、皮膚の乾燥を防ぐ抗酸化物質が含まれています。
豊富なビタミンCやビタミンB群が抗酸化作用を発揮するブドウ。
なかでもブドウ種子油は、その成分ポリフェノールが強力な抗酸化作用を持つことで知られています。シワの原因となるフリーラジカルをシャットアウトし、肌内部で保水力を保つヒアルロン酸が破壊されないように保護してくれます。
ブドウ種子ポリフェノールは、抗酸化成分としてよく知られているビタミンEよりも強力。メラニン色素の生成を促す酵素・チロシナーゼの活性を抑える効果が確認されており、シミを防いでくれることに期待が寄せられています。女性にとって最も厄介なシミ「肝斑」を薄くし、濃くなることを阻害する作用も確認されているそうなのです。
また、地中海沿岸の湿った気候の地域で育つブドウには、ポリフェノールの中でも近年注目を集めている「レスベラトロール」が多く含まれており、美白効果や肌のハリ・潤いを維持する効果などが寄せられています。ナーブルスソープで使われているのは、紀元前1500年頃から栽培が開始されたパレスチナ産のオーガニックぶどう。品質の良さは長い歴史に裏打ちされています。
石けんで洗顔することで、ポリフェノールによるエイジングケアが期待できるなんて、私は「ナチュラルオリーブオイル」を浴室へ、「ナーブルスソープ ぶどう」を洗面台へと、定位置を決めることにしました。
石けん成分のオーガニック・ヴィーガンが持つ意味
話は前後しますが、固形の純石けんフリークとしては、大事なことを伝えておかなくちゃいけません。それは石けんの原料の話です。
石けんは牛脂、ヤシ油、パーム油、パーム核油、オリーブ油などの天然油脂を原料に、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムと混ぜ合わせることで出来上がります。
ナーブルスソープのキャッチコピーは「1611年から400年以上同じ製法を守り続けてきたナーブルスのオーガニック・ヴィーガン石鹸」です。このオーガニック・ヴィーガンこそが大事なポイント。
下の画像は「ナーブルスソープ ナチュラルオリーブ」のパッケージですが、成分にはオリーブ果実油・水酸化Na・水しか書かれていません。これが界面活性剤の基本です。界面活性剤を誤解しないで欲しいのですが、石けんとは紀元前2800年ころから使われてきた界面活性剤で、水と脂を混じり合わせる洗浄成分。アミノ酸系の洗浄剤と同様に、肌に悪いものではありません。
一方で気を付けたいのは、人工的に作られた合成界面活性剤。高級アルコール系(ラウリル硫酸Na、ラウレス硫酸Naなど)や石油系を原料としたもので、大量生産されている洗顔剤やシャンプーなどに配合されています。洗浄力が強すぎて肌を乾燥させるだけでなく、たんぱく質を壊してシミ・シワの原因となり、肌に残留して毛穴トラブルなどの原因となります。
値段の高い安いにかかわらず、ケミカルな合成界面活性剤を含んだ製品は数多く出回っていますので、購入する前には成分表に必ず目を通してくださいね。
エリザベス1世が大絶賛したナーブルスソープの成分
オリーブオイルと塩の混合物をベースとして少数の天然成分のみで作られているのが、ナーブルス産石けん。パレスチナ・ウエストバンクに位置するナーブルスという町で、家庭用に女性の手で製造されていたのが始まりで、10世紀には小さな石けん工場ができ始め、14世紀にはパレスチナの主要産業となりました。
15~16世紀にかけて地中海の隅々まで広まったナーブルスソープは英国へも届き、美容成分を多く含んだ使い心地をクイーン・エリザベス1世が大絶賛したことから、ヨーロッパの女性たちの人気を得るに至りました。
イギリス政府は1934年に、ロンドン協会で石けんの分析を行い、その成分が完全に天然で化学物質無添加であるというお墨付きを与え、ナーブルスソープは何世紀にも渡って栄えていきます。
ところが大地震による建物の倒壊やイスラエル軍の軍事占領によって、ナーブルスの石けん工場は減少の一途を辿り、現在残っている工場は2つのみ。そのうちの1つが、400年の歴史を持つ石けん製造者Tbeleh一族の子孫が1971年に設立した「ナーブラスソープカンパニー社」です。
今や世界で年間500万個以上も使用されているというナーブルスソープは、ベースの「ナチュラルオリーブオイル」以外にも、タイム、アボカド、ぶどう、死海の泥といった成分が配合されたものが出ています。
外見は素朴で、パッケージもコストダウンしたエコデザインですが、上質で長持ちする「質実剛健」なところが純石けんの良さだと思います。エリザベス1世が愛用した理由も、そのへんにあるのかもしれませんね。
使用・保存で気を付けたいこと
「ナーブルスソープ ぶどう」を実際に使用した人の口コミに「お風呂の外で保管しないと、添加物ゼロなので、溶けやすいです。」とアドバイスしたものがありましたが、厳密には違います。防腐剤が入っていないので溶けやすいが正解です。
もう一つ言うと、グレープ種子油はリノール酸が非常に多く、酸化しやすいという特徴を持っているので、保存には気を使ったほうがいいですね。湿気、高温、直射日光は避けて保存することをおススメします。
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